マルクスその可能性の中心

ーキリストはどんな人だね?
ー迷える人たちを、神のみおしえによってみちびいた人です。
ーだが、マルクスによると、キリストは「富める金持ちによって殺された大工のせがれだった」ということにしかならないのだ。
ーきっとマルクスはキリストをきらいだったのですね?
ーいや、マルクスはこう言っている。「いっさいのことがらをぬきにして、キリストが子どもを愛することを教えたという一時だけでも、彼のたくさんのことを許してもよい」とね。


(寺山修司『さかさま世界史 英雄伝』187p)