2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『海辺のカフカ』のナカタさん

紛争の解決を図る際、 直接的には表象できないものに仮の「形」を与えて、矯正的な「正義の秤」を水平にしようとする場合、各人にとっての有用性や好みが異なる具体的な″物"や"行為"よりも、具体性を「捨象」され極限まで「抽象化」された「貨幣」の方が都合…

公的な営み

考えることは、公的な営みに関わる何かであるような気がする。そんな時、僕はカントを思い出す。カントはどうしてあんなに抽象(観念)的な文章を書いたのか。竹田青嗣さんは柄谷さんの『トランスクリティーク』を批判している本で次のように述べている。 柄…

人間失格

太宰治の『人間失格』のあとがきで奥野健男さんは、 「思うにこの時期、作者は精神的、肉体的に衰弱疲労していて、自己のモチーフを充分に文学的に肉付けすることができなかったと考えられる。(中略)作者はこのような主人公を設定することにより、社会の既…