最良の教育

ある集まりで、人間は6歳までに体感寿命の75%を経験する、というお話を聞いた*1。話を聞きながら、『カラマーゾフの兄弟』の終わりの方で、子ども時代が一番素晴らしい、というようなことが書いてあったのをボンヤリ思い出した。


新潮文庫版の下巻を取り出しページをめくると、次の箇所に黒線が引いてあった。

これからの人生にとって、何かすばらしい思い出、それも特に子供のころ、親の家にいるころに作られたすばらしい思い出以上に、尊く、力強く、健康で、ためになるものは何一つないのです。君たちは教育に関していろいろ話をしてもらうでしょうが、少年時代から大切に保たれた、何かそういう美しい神聖な思い出こそ、おそらく、最良の教育にほかならないのです。そういう思い出をたくさん集めて人生を作り上げるなら、その人はその後一生、救われるでしょう。そして、たった一つしかすばらしい思い出が心に残らなかったとしても、それがいつの日か僕たちの救いに役立ちうるのです。(『カラマーゾフの兄弟 下巻』493ページ)


後半の太字で強調した箇所については、線は引かれてありませんでした。でも、なぜか気になった

*1:科学的な根拠はないそうです。